バーコードとQRコードを活用した在庫管理を解説

備品管理では、備品の在庫や物品の保管場所を正確に管理することが求められます。しかし、多くの企業で行われている紙やエクセルを使用した手作業による備品管理では、入力ミスなどのヒューマンエラーや作業の煩雑さが課題となっていました。ここでは、バーコードやQRコードを使用した備品在庫管理の基本的な仕組みと、それに伴うメリット・デメリットについて、分かりやすく解説します。

備品在庫管理の重要性

企業や組織では、様々な物品や資材が日々使われています。例えば、使用可能なノートパソコンやマウス、タブレットなどの機器の在庫が不足してしまうと、業務がスムーズに進まなくなる恐れがあります。正確な備品管理が行われていない場合、次のような問題が発生することがあります。

必要な備品の不足

正確な備品管理が行われていない場合、必要なときに備品の在庫が無いといった問題が発生します。

コストの増大

正確な備品管理が行われていない場合、使用可能な備品があるのに新しい備品を購入してしまうという無駄な備品の購入が発生し、コストが増大します。

紛失や盗難のリスク

誰がどの備品をいつまで使用するのかといった備品の貸出管理が不正確な場合、備品管理が曖昧になり、備品の紛失や盗難が発生する可能性が高まります。

バーコードとQRコードを用いた在庫管理の基本的な仕組み

バーコードやQRコードを用いた備品の在庫管理は、備品に管理ラベルを貼り付け、スキャンすることで備品情報をデジタルデータとして管理する仕組みです。これは、紙やエクセルを使用した手作業による備品在庫管理と比較して、非常に効率的です。

バーコードとは？

バーコードは、縦線で構成されたシンプルなコードです。一般的に見かける商品パッケージのバーコードは、この仕組みを利用して、物品情報を機械的に読み取れるようにしています。バーコードリーダーでスキャンすると、特定の番号やデータが自動的に取得され、備品の情報を一元的に管理できるようになります。

QRコードとは？

QRコードは、二次元のマトリックスコードであり、バーコードに比べて多くの情報を持たせることができます。例えば、備品の名前だけでなく、使用者や保管場所、使用開始日などの詳細情報も格納することが可能です。また、スマートフォンやタブレットで簡単に読み取れるため、ITに詳しくない人でも使いやすいのが特徴です。

バーコード・QRコードを使うメリット

備品在庫管理の効率化

バーコードやQRコードを活用する最大のメリットは、業務効率化です。備品に貼り付けられたコードをスキャンするだけで、物品の状態（使用中、遊休、故障、修理中など）や使用者などの情報を瞬時に記録することができ、手作業による入力の手間が省けます。また、リアルタイムでデータが更新されるため、常に最新の備品在庫情報を把握でき、物品の不足や無駄な購入の防止にも役立ちます。

ヒューマンエラーの防止

紙やエクセルを使用して手書きや手入力で備品を管理する際には、入力ミスなどが発生しやすいですが、バーコードやQRコードを使用することで、スキャンした情報がそのままシステムに反映されるため、入力ミスなどのヒューマンエラーが大幅に減少します。これにより、備品在庫管理の精度が向上します。

物品の状態を簡単に確認できる

バーコードやQRコードを利用することで、どの備品がどの部署で使用されているか、誰が使用したかといった現在の備品の状態や過去の履歴を簡単に確認することができます。これにより、備品の紛失や盗難を防ぐとともに、責任の所在を明確にすることができます。

データの一元管理

多くの備品管理システムは、クラウド上でデータを一元管理できるため、異なる拠点や部署での備品管理も一括して行えます。例えば、ある拠点で備品が不足している場合、別の拠点から余剰在庫を確認して移動させるなど、より効率的な備品在庫管理が可能です。

バーコードやQRコード導入の流れ

バーコードやQRコードを活用した備品管理システムを導入する際には、いくつかのステップがあります。

1. 管理対象となる備品の選定

まず、どの備品にバーコードやQRコードを付けて管理するかを決める必要があります。全ての備品にコードを貼り付けるのが難しい場合、まずは、頻繁に使用される備品や高価な物品、紛失しやすい備品に重点を置いて管理するのが効果的です。これにより、管理の労力を削減しつつ、効率的な備品在庫管理を実現できます。

2. バーコードやQRコードの発行

次に、各備品に貼り付けるバーコードやQRコードを発行します。専用のラベルプリンターを使用して、耐久性の高いラベルを作成することも可能です。ラベルは、備品が使用される環境に応じて、耐水性や耐熱性などの特性を持つものを選ぶとよいでしょう。

3. システムの設定とトレーニング

バーコードやQRコードを読み取るための備品管理システムを導入し、従業員へのトレーニングを行います。ITに疎い従業員でも簡単に使用できるよう、システムの操作方法やコードのスキャン手順をマニュアル化し、スムーズな運用をサポートします。

導入時の注意点

1. システム導入や運用体制の構築に時間がかかる

QRコードやバーコードを導入する場合、それぞれのコードに対応した管理システムを導入する必要があります。

具体的には、備品管理システム、物品管理システム、在庫管理システムといったシステムやクラウドサービスを利用する組織が多いです。

また、新しいシステムやクラウドサービスの利用を始めるにあたり、従業員に対して、これまでの備品管理業務からの変更点や利用方法を周知し、日常的な備品管理業務を通じて運用を定着させなければなりません。運用体制の構築には一定の時間がかかることを念頭に置き、余裕を持って導入する必要があります。

2. 総体的なコストが不明確

備品管理システム、物品管理システム、在庫管理システムといったシステムやクラウドサービスの選択肢が増えた影響で、備品管理におけるQRコードやバーコードの導入にかかるコストは、以前よりも比較的安価に抑えることができるようになりました。

一方で、長期的なランニングコストを視野にいれたコストパフォーマンスを導入時点で計算する必要があり、多様な導入の選択肢があるため、組織に最適なサービスを選ぶことが難しくなっている状況も見受けられます。

そのため、近年、導入コンサルティングを受けてから、システム導入に踏み切る企業も増えてきました。必要なオプション、導入にかかるアウトソーシングサービスの利用など、事前に綿密な計画を立ててからシステム導入を進める必要があります。

3. 既存システムと連携できないケースがある

経理部門が利用している固定資産管理システム、総務部門が利用している備品管理システム、営業部門が利用している鍵管理システム、製造部門が利用している生産管理システムなど、すでに別のシステムが組織内で使われているケースも多いです。

その場合、QRコードやバーコードの利用にあたり新しく導入するシステムとの連携可否を、必ず事前に確認する必要があります。

システム同士の連携が不可能な場合、手作業でデータ連携をすることになり手間と時間がかかるようになったりと、逆に現場の負担が増える可能性があります。

RFIDの活用

バーコードやQRコードの次に注目されているのが、RFID（無線識別）技術です。RFIDは、無線通信により複数の物品の情報を一括で取得できるため、大量の備品を効率的に管理できます。特に大規模な倉庫や工場での備品管理において、RFIDは非常に効果的です。

QRコードやバーコードを活用した備品管理なら『備品管理クラウド』

アストロラボ株式会社の『備品管理クラウド』は、ラベルやシールを活用した備品在庫管理を可能とする機能が提供されています。

備品管理ラベルの発行

キングジムのラベルライター「テプラ」と備品管理クラウドのスマートフォンアプリを連携することで、備品管理クラウドに登録したアイテム情報をもとに、備品管理ラベルを発行することができます。備品管理ラベルの一括発行も可能です。

QRコード付き備品管理ラベルの発行

QRコードが記載された備品管理ラベルを発行することができます。ラベルに記載されたQRコードを使用して棚卸しや貸出申請ができますので、業務効率化を実現します。

このように、『備品管理クラウド』は、充実の機能で貴社の備品管理をサポートします。

『備品管理クラウド』に少しでも興味を持たれた場合は、下記よりお気軽にお問い合わせください。

まとめ

備品在庫管理において、バーコードやQRコードの導入は、効率的かつ正確な管理を実現するための有効な手段です。従来の手作業による管理と比較して、作業の効率が向上し、在庫の正確な把握が可能になるだけでなく、ヒューマンエラーを防ぎ、備品の追跡も容易になります。初期投資や運用コストの面での課題もありますが、長期的に見ればその効果は非常に大きいといえるでしょう。

今後は、RFIDのようなさらに高度な技術の導入を検討することで、備品管理のさらなる効率化が期待されます。