QRコードとバーコードを活用した備品管理のメリット・デメリット

近年、企業では「備品管理」がますます重要になっています。備品管理とは、会社で使う物品や機器をしっかりと管理することを指します。特に、備品の保管場所や貸出状況を簡単に確認し、備品を探す時間を削減して業務を効率化したり、コストを抑えたりするために、QRコードやバーコードを使った備品管理方法が注目されています。QRコードやバーコードを使うと、備品の貸出や返却、在庫の管理、メンテナンスの履歴などが簡単に確認できるようになります。また、データが正確になるため、管理ミスを減らすことができます。この記事では、QRコードやバーコードを活用した備品管理の利点や、実際の導入事例、注意点についてわかりやすく解説します。

QRコード・バーコードとは？

QRコード

QRコードは、縦と横の両方に情報を持つ2次元コードで、より多くの情報を一つのコードに詰め込むことができます。

バーコード

バーコードは主に横線で構成され、数字や文字を表現します。例えば、あなたが商品を購入するとき、レジでスキャンされるのがバーコードです。バーコードの活用は、売上をすばやく記録し、在庫管理を効率化するために欠かせません。

QRコードやバーコードは特に商品や備品の識別、管理に役立っています。備品管理でも同様に、バーコードやQRコードを使うことで、手作業による管理ミスを減らし、スムーズなデータ更新が可能になります。

エクセル管理や紙管理との違い

多くの企業では、エクセルや紙を用いて備品管理が行われています。エクセルや紙を用いた備品管理では、備品や物品の情報を手動で入力し、更新していきます。

エクセルを用いた備品管理の特徴

メリット

導入が簡単

エクセルは多くの人が使い慣れているソフトウェアであり、特別なスキルがなくても基本的な操作が可能です。これにより、備品管理にも簡単に導入することができます。

カスタマイズが容易

エクセルでは、自分のニーズに合わせて自由にシートを設計できます。例えば、備品のリスト、貸出履歴、在庫数などを一つのファイルで管理できるため、カスタマイズが容易です。

コスト削減

エクセルは多くのオフィスで既に導入されているため、新たなソフトウェアを購入する必要がなく、導入コストを抑えることができます。

データ分析

エクセルにはデータを集計したり、グラフを作成したりする機能があり、備品の使用状況や在庫状況を視覚的に把握しやすくなります。

デメリット

手作業の多さ

エクセルでの備品管理は手作業でデータを入力・更新する必要があるため、人為的なミスが発生しやすく、特に大量のデータを扱う際には管理が煩雑になります。

リアルタイムでのデータ更新が困難

エクセルはリアルタイムでのデータ更新が難しく、複数のユーザーが同時に編集することができないため、データの整合性を保つのが難しくなります。

スケーラビリティの問題

会社の規模が大きいと管理する備品の数も多くなるため、エクセルだけでは備品管理が難しくなります。また、データの量が増えると処理速度も低下することがあります。

セキュリティの脆弱性

エクセルファイルはパスワード保護や暗号化が可能ですが、専用の管理システムに比べるとセキュリティが脆弱です。重要なデータが漏洩するリスクがあります。

バックアップの手間

定期的にバックアップを取る必要がありますが、これを怠るとデータ損失のリスクが高まります。特に誤ってデータを削除した場合、復旧が難しいことがあります。

紙を用いた備品管理の特徴

メリット

導入が簡単

特別な技術やソフトウェアが不要で、必要なものは紙とペンだけですので、すぐに導入でき、初期コストが非常に低いです。

管理が直感的

紙を使った管理は直感的で、誰でも簡単に使えます。特にITに不慣れな従業員でも問題なく運用に参加できます。

デメリット

人為的なミス

手書きによる記入ミスや、紙の記録を紛失するリスクが高まります。特に、複数の人が記入する場合、誤った情報が記載される可能性があります。

データの更新が大変

情報が変更された場合、紙の記録を修正するのが面倒で、場合によっては新しい紙に書き直さなければなりません。これにより、古い情報が残ってしまうことがあります。

スケーラビリティの問題

備品が増えると記録が膨大になり、管理が難しくなります。また、物理的なスペースが必要です。

情報の検索が非効率的

過去の記録を遡るのに時間がかかり、情報をすぐに見つけることが難しいです。特に、大量の紙の記録があると、必要な情報を探すのに多くの手間と時間がかかります。

バーコードとQRコードの活用

これに対して、バーコードやQRコードを使用することで、情報の管理が大幅に改善されます。バーコードリーダーやスマートフォン、タブレットを使うことで、物品の情報を瞬時に読み取ることができ、エクセルや紙の管理よりも効率的です。たとえば、備品の在庫確認を行う場合、バーコードをスキャンするだけで、物品の情報を簡単に確認することができます。これにより、リアルタイムでの備品管理が可能になります。

備品管理に利用するバーコードの種類

1次元バーコード

一般的に使われるバーコードで、横に並んだ黒い線の組み合わせで情報を表現します。例えば、UPC（Universal Product Code）などがこれに該当します。シンプルで使いやすいですが、情報量は限られています。

2次元バーコード（QRコード）

QRコードは、横線だけでなく縦にも情報を持つため、1次元バーコードに比べて遥かに多くの情報を保持できます。例えば、URLやテキストメッセージ、連絡先情報などを一つのコードに詰め込むことができます。この特性から、特に詳細な情報を管理する備品に適しています。

RFID（無線周波数識別）

RFIDは、バーコードとは異なり、無線で情報を読み取る技術です。これにより、目視できない位置にある物品の管理が可能です。コストはかかりますが、大量の物品を一括で管理する際に便利です。

備品管理にQRコードを活用する方法

1. QRコードの作成

各備品に固有のQRコードを作成します。QRコードには、備品名、備品管理番号、購入日、使用者、設置場所などの情報を含めることができます。

2. QRコードの印刷と貼付

作成したQRコードを印刷し、各備品に貼り付けます。これにより、備品に関する情報を簡単に確認できるようになります。

3. スキャンによる情報の取得

専用のアプリやスマートフォンでQRコードをスキャンすることで、備品の情報を瞬時に取得できます。これにより、どの備品がどのように使用されているかをリアルタイムで確認できます。

4. データの更新

QRコードをスキャンするだけで、備品の使用履歴やメンテナンス記録を簡単にデータベースに登録できます。これにより、常に最新の情報が管理されます。

備品管理にバーコードを活用する方法

1. バーコードの生成

各備品に固有のバーコードを生成します。バーコードには、備品名、備品管理番号、型番、保管場所などの基本情報を含めます。

2. バーコードの印刷と貼付

生成したバーコードを印刷し、各備品に貼り付けます。

3. バーコードリーダーの使用

専用のバーコードリーダーを使用して、バーコードをスキャンします。この操作により、備品の情報を簡単に確認できます。

4. データの更新

バーコードリーダーでのスキャンにより、備品の在庫状況を簡単に把握できます。物品が使用されるたびにデータを更新し、備品在庫の変動をリアルタイムで管理します。

QRコードやバーコードを活用した備品管理のメリット

1. 業務の効率化

手作業による管理が減るため、備品管理業務が効率化します。特に、備品の在庫確認や備品の貸出管理、棚卸作業がスムーズに行えます。

2. データの正確性向上

スキャンによる情報の取得は、手動入力に比べて非常に正確です。これにより、誤入力が減少し、正確なデータ管理が可能になります。

3. 管理性の向上

備品の使用履歴や移動をリアルタイムで把握できるため、誰がいつ使用したかが明確に記録されます。これにより、紛失や不正使用のリスクが低減します。

4. コスト削減

備品の状態（使用中、遊休、故障、修理中など）を簡単に確認することができるため、使用可能な備品があるにもかかわらず新しい備品を購入するといった無駄な備品の購入を防ぐことができるため、コスト削減につながります。

QRコードやバーコード活用のデメリット

1. システム導入や運用体制の構築に時間がかかる

QRコードやバーコードを導入する場合、それぞれのコードに対応した管理システムを導入する必要があります。

具体的には、備品管理システム、物品管理システム、在庫管理システムといったシステムやクラウドサービスを利用する組織が多いです。

また、新しいシステムやクラウドサービスの利用を始めるにあたり、従業員に対して、これまでの備品管理業務からの変更点や利用方法を周知し、日常的な備品管理業務を通じて運用を定着させなければなりません。運用体制の構築には一定の時間がかかることを念頭に置き、余裕を持って導入する必要があります。

2. 総体的なコストが不明確

備品管理システム、物品管理システム、在庫管理システムといったシステムやクラウドサービスの選択肢が増えた影響で、備品管理におけるQRコードやバーコードの導入にかかるコストは、以前よりも比較的安価に抑えることができるようになりました。

一方で、長期的なランニングコストを視野にいれたコストパフォーマンスを導入時点で計算する必要があり、多様な導入の選択肢があるため、組織に最適なサービスを選ぶことが難しくなっている状況も見受けられます。

そのため、近年、導入コンサルティングを受けてから、システム導入に踏み切る企業も増えてきました。必要なオプション、導入にかかるアウトソーシングサービスの利用など、事前に綿密な計画を立ててからシステム導入を進める必要があります。

3. 既存システムと連携できないケースがある

経理部門が利用している固定資産管理システム、総務部門が利用している備品管理システム、営業部門が利用している鍵管理システム、製造部門が利用している生産管理システムなど、すでに別のシステムが組織内で使われているケースも多いです。

その場合、QRコードやバーコードの利用にあたり新しく導入するシステムとの連携可否を、必ず事前に確認する必要があります。

システム同士の連携が不可能な場合、手作業でデータ連携をすることになり手間と時間がかかるようになったりと、逆に現場の負担が増える可能性があります。

QRコード・バーコード活用の具体的事例

1. 製造業

ある製造業の会社では、QRコードを使用して機械のメンテナンス管理を行っています。機械ごとにQRコードを貼り付け、メンテナンス履歴や交換部品の情報を一元管理。これにより、メンテナンス漏れが防止され、故障のリスクが低減しました。

2. 教育機関

ある学校では、備品管理にバーコードを活用しています。図書館や実験室で使用される備品にバーコードを貼り付け、専用のバーコードリーダーでバーコードをスキャンすることで、貸出・返却をスムーズに行っています。これにより、貸出履歴の管理が簡単になり、紛失や損傷のリスクを軽減しています。

3. 医療機関

ある病院では、医療機器の管理にQRコードを使用しています。各機器にQRコードを貼り付け、スキャンすることで使用状況や保守履歴を確認できます。このシステムにより、医療機器の管理が効率化され、機器故障のリスクが低減しました。

導入時のポイント

1. 明確な目的設定

導入する目的を明確にし、何を解決したいのかを明らかにします。これにより、システム選定がスムーズになります。

2. システム選定

自社のニーズに合ったシステムを選びます。特に、取り扱う備品の種類や数量に応じたシステム選定が重要です。

3. 従業員教育

導入したシステムについて、従業員への教育を徹底します。操作方法やトラブルシューティングの知識を身につけてもらうことで、スムーズな運用が可能になります。

4. 定期的なメンテナンス

バーコードリーダーやQRコードスキャナーの定期的なメンテナンスを行い、常に良好な状態を保つことが重要です。故障が発生した場合の迅速な対応も考えておく必要があります。

QRコードやバーコードを活用した備品管理なら『備品管理クラウド』

アストロラボ株式会社の『備品管理クラウド』は、ラベルやシールを活用した備品管理を可能とする機能が提供されています。

備品管理ラベルの発行

キングジムのラベルライター「テプラ」と備品管理クラウドのスマートフォンアプリを連携することで、備品管理クラウドに登録したアイテム情報をもとに、備品管理ラベルを発行することができます。備品管理ラベルの一括発行も可能です。

QRコード付き備品管理ラベルの発行

QRコードが記載された備品管理ラベルを発行することができます。ラベルに記載されたQRコードを使用して棚卸しや貸出申請ができますので、業務効率化を実現します。

このように、『備品管理クラウド』は、充実の機能で貴社の備品管理をサポートします。

『備品管理クラウド』に少しでも興味を持たれた場合は、下記よりお気軽にお問い合わせください。

まとめ

QRコードやバーコードを活用した備品管理は、業務の効率化やデータの正確性向上、コスト削減など多くのメリットがあります。導入には初期投資や教育が必要ですが、これらの技術を使うことで、備品管理が大きく効率化されます。導入時には目的を明確にし、自社に合ったシステムを選定することが大切です。

QRコードやバーコードの導入により、業務負担の軽減や管理ミスの削減が期待でき、組織全体の生産性を向上させることが可能です。QRコードやバーコードを活用した新しい管理方法を取り入れ、効率的な備品管理を実現しましょう。