社内外のPCを効果的に台帳管理する方法

普段、さまざまな業務で使用されているPCは、従業員に貸与されている場合がほとんどです。企業の規模が大きくなると、従業員に貸与するPCの数も増加するため、正確な管理が不可欠となります。

特に、近年、政府の主導する「働き方改革」や新型コロナウイルスの流行により、業務の形態を出社からリモートワークに切り替える企業が増えた結果、会社から貸与されたパソコンを社外に持ち出す機会が増えたため、PC管理の重要性がより大きくなっています。

「どの従業員にどのパソコンを貸し出しているのか」「いつ返却される予定なのか」「貸し出し可能なパソコンの在庫はどれくらいあるのか」「貸与可能なパソコンの保管場所はどこか」「故障や紛失が起きていないか」など、社外に持ち出されているPCの管理にあたり、把握しなければならない項目は多岐にわたります。

本記事では、PC管理の基本から、具体的な管理手法やシステム化のメリットまで、詳しく解説します。また、PC資産管理を効率化するために使用できるツールや、PC管理の際に直面する課題についても取り上げます。

PC管理とは

PC管理とは、企業が保有するPCおよびその関連機器（ソフトウェアや周辺機器など）を正確に管理し、運用する業務のことです。PC管理では、PCの購入から廃棄までのライフサイクル全体を管理するため、以下のような要素が含まれます。

ハードウェア管理

各PCの物理的な状態（故障や異常がないか等）を把握し、保守や交換、廃棄を行います。

ソフトウェア管理

PCにインストールされたソフトウェアのライセンス情報やライセンス期限を管理し、更新や削除を行います。

貸し出し・返却管理

「どの従業員にどのパソコンを貸し出しているのか」「いつ返却される予定なのか」「貸し出し可能なパソコンの在庫はどれくらいあるのか」を管理します。

棚卸し管理

定期的に棚卸しを行い、故障や異常が発生していないか、紛失が発生していないか等、パソコンの状態を確認・記録します。

PC管理の目的

1. コスト削減

正確なPC管理を行うことで、PCの貸し出し状況や貸し出し可能なPCの在庫数、ソフトウェアのライセンス期限などを把握することができるため、無駄なパソコンの購入や不要なソフトウェアライセンスの更新で発生する無駄なコストを削減することができます。

2. 盗難・私物化の防止

「どの従業員にどのパソコンを貸し出しているのか」「いつ返却される予定なのか」を正確に把握することで、パソコンの盗難や私物化を防止します。

3. 業務効率化

「どの従業員にどのパソコンを貸し出しているのか」「いつ返却される予定なのか」「貸し出し可能なパソコンの在庫はどれくらいあるのか」「貸与可能なパソコンの保管場所はどこか」などを正確に把握することで、確認に掛かる時間と手間を削減し、業務を効率化することができます。

4. コンプライアンスの遵守

PCやソフトウェアのライセンスを適切に管理することで、企業は法的な遵守義務を果たすことができます。ライセンス違反が発覚した場合、多額の罰金や信頼失墜につながる可能性があるため、正確な管理が求められます。

PC管理の重要性

社内外のPCを正確に管理することは、下記のような点で重要です。

• ・不必要なパソコン購入を防ぐことによるコスト削減
• ・貸し出し、返却管理による紛失や私物化の防止
• ・ソフトウェアライセンス期限の把握により、ライセンス違反を防止
• ・保証期間の把握により、修理コストを適切に管理
• ・定期的な棚卸しによるパソコンの状態（故障や異常の有無など）を正確に把握

特に、近年、リモートワークが増えているため、会社貸与PCや社内PCの管理が複雑化しており、PC管理の重要性は一層高まっています。

PC管理の基本

PC管理を適切に行うためには、いくつかの重要な要素を押さえておく必要があります。ここでは、PC管理の基本となる「IT資産管理」「インベントリ管理」「ライセンス管理」について詳しく説明します。

IT資産管理

IT資産管理は、PCだけでなく、企業が所有する全てのIT関連資産を一元的に管理するプロセスです。IT資産には、PC、サーバー、ネットワーク機器、ソフトウェアライセンスなどが含まれます。PC管理はこの一環であり、特に企業にとっては、ハードウェアのライフサイクルを適切に管理することが重要です。

IT資産管理の目的は、コストの最適化や運用効率の向上、そしてリスクの軽減です。特にPC資産は頻繁に更新や廃棄が必要になるため、その管理はIT資産管理の中でも非常に重要な役割を果たします。

インベントリ管理

インベントリ管理は、PCの物理的な所在や利用状況を把握するための管理プロセスです。PCがどの従業員に貸与されているか、どの部署で使用されているか、またそのPCの状態（稼働中、保守中、廃棄予定など）を把握することが求められます。

インベントリ管理が適切に行われていれば、紛失や盗難のリスクを最小限に抑えることができます。また、どのPCがどのような状態にあるのかを正確に把握できるため、保守や更新が必要なタイミングも把握しやすくなります。

ライセンス管理

ライセンス管理は、企業が利用しているソフトウェアのライセンス数や有効期限を適切に把握し、管理するプロセスです。ソフトウェアのライセンス違反は、法的なリスクを伴うだけでなく、企業の信頼性を損なう原因となります。

特に、企業が大量のPCを所有している場合、ソフトウェアのインストールやライセンスの管理は非常に複雑になります。適切なライセンス管理を行うことで、ソフトウェアの不正使用を防ぎ、法的リスクを回避できます。

PC管理の具体的な方法

エクセルのPC管理台帳を使用する

従業員に貸与するPCについて管理を効率化したいなら、情報を一元管理するための管理台帳作成からはじめることが一般的です。

PCの管理台帳は、エクセルなどの表計算ソフトで作成することが可能です。

エクセルは、多くの企業で標準的に利用されているツールですので、管理台帳の導入も簡単です。

PC管理台帳の項目

エクセルで作成するPC管理台帳には、以下の項目を含めると効果的です。

PCの名称

各PCの名称。

管理番号

各PCを識別するために割り当てられたユニークな管理番号。

メーカー

PCのメーカー。

型番

PCの型番やモデル番号。

シリアルナンバー

各PC固有のシリアルナンバー。

ハードウェア仕様

CPU、メモリ、ストレージなどの基本スペック。

ソフトウェア情報

PCにインストールされているソフトウェアの一覧。

ライセンス情報

ソフトウェアのライセンス数やライセンスの有効期限。

状態

「遊休（貸し出し可能）」「使用中（貸し出し中）」「故障」「修理中」といった、PCの状態。

使用者の情報

各PCが誰に貸与されているか、使用者の部署や役職。

使用場所

貸与したパソコンが使用される場所。

返却予定日

貸与したパソコンの返却予定日。

保管場所

貸与されていない時に、パソコンが保管されている場所。

修理・メンテナンス履歴

PCの修理やメンテナンスの記録。

購入日

各PCの購入日。

購入金額

各PCの購入金額。

購入先

各PCの購入先。

廃棄日

各PCの廃棄日。

廃棄金額

PCの廃棄にかかった費用。

廃棄依頼先

廃棄依頼先の業者。

PC管理における課題

データの不整合

手動入力による入力ミスや入力漏れにより、管理データの不整合が発生します。

情報の散乱

各部署や担当者が異なる方法でPCを管理している場合、情報が散乱し、正確な管理が困難になります。

手間と時間がかかる

手作業による管理台帳の更新には、手間と時間がかかります。

リアルタイムでの情報の共有が困難

紙やエクセルの管理台帳は複数人での同時作業ができないため、最新の情報をリアルタイムで共有することが困難です。

PC管理のシステム化

PC管理の課題を解決するためには、システム化が有効です。PC管理ツールやPC管理ソフトを導入することで、手動作業による入力ミスや手間と時間を低減し、正確かつ効率的な管理が可能になります。

PC管理をシステム化するメリット

コストの削減

不要なライセンスの更新やPCの購入を削減することで、コスト削減につながります。

データの正確性が向上

PCの購入や廃棄、ライセンス情報の変更などがリアルタイムで反映され、データの正確性が保たれます。

業務効率化

手作業で行っていた業務がシステムによって自動化されるため、業務効率が向上します。また、必要な情報にすぐにアクセスできるため、トラブルシューティングや故障対応もスムーズになります。

PC管理の効率化なら『備品管理クラウド』

アストロラボ株式会社が提供する『備品管理クラウド』は、PC管理を効率化する機能が提供されています。

備品管理クラウドの機能

自動入力

スマホアプリでJANコードや製品ラベルを撮影すると、備品の名前・メーカー・型番等の備品管理に必要な情報が自動で入力されますので、備品を簡単に登録することができます。PCの場合は、OS・メモリ・CPU・ストレージといったPC管理に必要なスペック情報が自動で入力されます。また、自動入力により、手動入力の際に発生していた入力ミスを低減します。

備品の写真を登録できる

備品の情報の他に、備品の写真も登録することができます。アイテム一覧ページにも写真が表示され、 備品が一目で把握できます。文字だけでは不明瞭な部分も、写真によって視覚的に理解でき、色や特徴の違いも容易に判別可能です。

関連ファイル管理

購入の見積書や稟議書、備品の取扱説明書など備品に関連する書類やファイルを備品に紐付けて保存することができます。

期限管理

保証期限やソフトウェアライセンス期限、リース期限、レンタル期限などを登録することができます。期限が近づくとアラートが通知されるため、更新忘れを防ぐことができます。

履歴管理

備品情報の変更や貸出・返却が履歴として残ります。

紐付け管理

ACアダプタなど、セットで管理したい備品を紐付けることができます。

貸出・返却管理

どのPCを誰がいつまで借りているか、簡単に把握することができます。また、返却期限が近づくとアラートが通知されるため、返却忘れを防止することができます。

このように、『備品管理クラウド』は、充実の機能で貴社のPC管理をサポートします。

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まとめ

PC管理は、リモートワークが増え、PCが社外に持ち出される機会が多くなった点で重要な業務です。特に、貸し出し管理やライセンス管理が不十分な場合、紛失や私物化、無駄なコストの増加などのデメリットが大きいです。

エクセルを活用したPC管理も効果的ですが、規模が大きくなるにつれ、専用の管理ツールやシステムの導入も検討することが重要です。PC管理の基本を押さえ、正確に管理し続けることで、企業はPC資産を最適に運用できるでしょう。